−レッツ☆ウォー− 


げんじ☆戦争

「もちろん全てv」
「だめよ、それは。もう終りじゃない。どっちが多く言えるかでしょう? 」
「だって、絶対全部は言えないし〜。今のうちに全てって言っておかないと」
「でも、全てなんてありえないわ。一つくらいだめなところだって……」
「それこそありえないよ? 双葉ちゃんv」
 休み時間の暇潰しだろう、どうでもいい会話が耳に入る。ふらりと教室に戻りそちらに目を向けると、俺の椅子に幼馴染みが座り、俺の机に友人が腰掛けているという一部腹立たしい風景が見えた。
 一つ結わきの長いしっぽを揺らして、双葉は源氏に「そうかしら?」とか不満げに呟いている。源氏もそれを真似て首を傾げていた。
「……人の机で何やっとるんだ?」
 一般人からしたら当然すぎる抗議のセリフ。源氏の前に立って、腕を組んだ俺は偉そうに奴を見下す。双葉はいつものことなので無視しておいた。というよりも、ここで双葉に文句を言おうものなら、俺は殺される。
「何って、双葉ちゃんと談笑中v」
 周囲の殺気を一身に受けて、それでもファンクラブ主席は自慢げに振舞う。双葉は俺が帰ってきて嬉しいのだろう。にこにこと楽しそうに、俺の運命を転落させる笑顔を見せてくれる。
 源氏の「てめぇ、幼馴染みだからって笑顔独占が許されると思うなよ?」という内心が耳奥で聞こえる。うざいんですけど?
「……何の話だったかを聞いてるんだよ」
「どっちが相手のいいところを多く言えるか、競争しようとしていたのよ。いっちゃんもやる?」
「机をお貸ししますので、巻き込まないで下さい」
 ……俺は笑顔から逃げた。奴らの頭の構造は理解できない、付いていけない。いや、付いていきたくない。……下らないぞ。

☆ 本日の試合結果。げんじ(を含む双葉)勝利。


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